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2010年10月 アーカイブ

植物の均衡状態とその回復

自然は強い復元力をもっています。


したがって、一時的に人間が自然に対してかなりの傷を与えても、また一回限りの台風・集中豪雨や地震のような大きな力に対しても、時間と共に確実に本来の自然の状態へと回復していきます。


むしろ、自然に対する影響でより深刻なのは、単に人が入ってふむことでも、落葉をかく、林内に家畜を放牧することであっても、このようなわずかな影響がくり返し、持続的に加えられることです。


自然は、このようなくり返し与えられる人間の干渉については敏感です。


その結果、その土地本来の自然林はだんだんと貧化し、ヨーロッパ大陸のヨーロッパミズナラ-シラカンバ林は、ピース(ハイデ)といわれる荒れ野になったのでした。


ところで、このように定期的に家畜を放牧したり、さらに6月と9月の2回牧草を収穫するために草を刈るという人間の影響に対応して、ヨーロッパの牧野は成り立っています。


ヨーロッパの牧野に広く生育しているヵモガヤ、スズメノチャヒキ、オオスズメノテッポウなどがそれぞれ優占している乾性・中性または湿性の牧野植物群落において、その構成種は本来林縁・河辺・林床などに生育していたものです。


これらの草の多くの種類の中で、有史以前からの放牧、とくに中世からの集約牧畜のための年2回の定期的な草刈りという数百年来の、あるいは千年以上の長い間の人間の影響に耐え得た植物のみが生き残っています。


それが集まって放牧牧野・採草牧野として、それぞれ固有の種の組み合わせによる群落を形成して生育してきているのです。


したがって、ヨーロッパの刈取牧野や放牧牧野は、定期的な放牧・草刈りが持続する限り、何十年、何百年でも、1回も新たに草の種をまいたり、もう1度耕したりする必要はありません。

植物の均衡状態とその回復 2

日本の本来の野草でも、集約的な家畜の放牧とか1週間に一度の草刈りという、植物にとってきびしい条件に耐えて生き残るノシバ、コウライシバ、北海道・東北北部のナガバグサなど・・・


草丈の低い短茎のいわゆるシバ草原の構成種があります。


これらはヨーロッパの牧草にくらべて貧養で、しかもナガバグサ以外は冬には枯れてしまう野草です。


ところで、長い間かかって形成されたヨーロッパの牧草の中でも好窒素性で、家畜も好み収量も多いため、北海道や中部山岳の八ヶ岳山麓などでも有用種といわれるカモガヤを導入して人工牧野を造成したことがありました。


その結果はどうであったでしょうか。


自然の状態で播種しても、日本の自生の、南の方ではコウライシバ、本州・四国・九州・北海道の南部まではノシバ、夏緑広葉樹林帯ではナガバグサなどの自生種に負けてしまいました。

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