「持分法」の適用 3

日本の会計制度のあり方は、連結決算を骨抜きにし、企業集団の「秘密」を温存させるものとしてきびしく批判されねばならないのです。


「持分法」を適用した会社は電機に集中しています。


ここでは連結会社中、実に40パーセントの会社が「持分法」を適用していますが、それは経営実態と深く関連しているとみることができます。


つまり、電機、自動車などの高収益業種では「持分法」が適用された結果、関連会社の収益が親会社の決算に大きく寄与している反面・・・


鉄鋼、造船、合繊などの不況業種では「持分法」を適用しないことによって、関連会社の赤字の影響をシャットアウトするという政策的運用が行なわれたのです。


・・・ところで、連結決算の結果が単独決算の結果と、どの程度、異なった内容を示しているかが問題になるでしょう。


それによって、連結決算が単独決算では明らかにしえない企業集団の実態を、曲りなりにも反映しうるかどうかが判断されるからです。

「持分法」の適用 2

「連結財務諸表規則」は・・・


「会社が他の会社の議決権の100分の20以上、100分の50以下を実質的に所有し、かつ当該会社が人事、資金、技術、取引等の関係をつうじて当該他の会社の財務および営業の方針にたいして重要な影響を与えることができる場合」。


その会社を関連会社とよび、「持分法」の適用を規定しているのです。


この規定は「当分の間、適用しないことができる」として、その適用を企業の任意にまかせているのです。


その結果、連結元年といわれた78年3月期決算における東京証券取引所1、2部上揚792社(損保コニ社を除く)のうちの連結決算作成会社337社(42・2パーセント)についてみると、「持分法」適用会社はわずか33社(4・2パーセント)にとどまっています。


ADR(米国預託証券)発行会社などアメリカのSEC基準によってこれまで連結決算をしてきた会社以外に、「持分法」を新たに採用した会社は17社にすぎなかったのです(『日本経済新聞』1978年8月22日)。


・・・これでは連結決算をしても、その数値のもつ意味が大きく損なわれてしまうことは明らかです。


「持株基準」によるのであれば、「持分法」の強制は絶対的条件とされねばならないのです。

「持分法」の適用

「持分法」とは、本来の連結が親子会社の資産、負債、資本、費用、収益を全面的に合算する全部連結であるのにたいし、子会社の損益のうち親会社の持株割合におうじた部分だけを親会社の損益に合算します。


それとともに、親会社の資産である子会社にたいする投資勘定の評価をそれだけ増減させるものです。


・・・いわば部分連結といえるものです。


「持株基準」によっていても、この方法が適用されるならば、売上などの大きさは変わらないのですが・・・


しかし、損益にかかわるかぎりにおいて非連結子会社の実態が親会社の決算の内容に反映されることになります。


こうして「持株基準」の欠陥を補うことができるのです。


そこでアメリカでは、「持株基準」によるかわりに、「持分法」の適用が強制されています。


国際会計基準においても、非連結子会社への投資については、連結財務諸表の作成にあたり「持分法」を適用しなければならないとされているのです。


・・・しかし日本の場合には、「持分法」の適用が、まったく企業の任意にゆだねられている点が問題となるのです。

空間づくりと照明 2

「日本人のへそ」の上演に当たって、一杯飾りの舞台をデザインしたのは「舞台転換は瞬時に行なうこと」を突き詰めて・・・


この諸々の条件を考えるとセットの転換は不可能で、明かりで転換するのが最善であるとの判断をしたと受けとめました。


彼から下駄をあずけられた格好になってしまいました。


その頃まで新劇はほとんどが写実劇で各場面を写実的な明かりで組立てなければならないと考えられていました。


この芝居ではそれは不可能です。


かくれん棒でなければ・・・。


2間半四方ほどの空間が、汽車の中だったと思っていたら、次の瞬間上野駅になり、次の一瞬、洗濯屋の2階になるというのでは写実的な明かりを創るのは不可能です。


象徴的様式的な明かり以外に創りようがないと判断して、芝居のエリアと光の方向だけで各場面を組み立て、色を使うと余計な意味を持ってしまうので、すべてノーカラーという当時では珍しい手法で創りました。


心配していたお客さんの反響も、カラフルな舞台で楽しかったと大方好評のようでした。


ジンクスと占い


オアシ(金銭)のやりとりに命をかける連中のことだから、足に関する禁忌が特にやかましいので、下駄が片っぽう裏返しになっていたり、他人の下駄の下になっていたりすると、その日の博変は目が出ないといっていやがります。


まちがえて他人の履物でもはこうものなら、手足をたたき折られても文句はいえません。


また勝負する人のうしろに立って肩越しにのぞくのは禁物。


ちょっとでも肩にさわると目の色を変えて怒る。


横に坐っている人が、うっかり接近しすぎても、「勝負人の肩をおさえるなっ」と、どなりつけられる。


それに賭場では頬杖をつくのを極端にきらいます。


顎を釣るといって、これは飯の食い上げを意味するのです。


このようなジンクスを、わたしたちはつい信じてしまいます。


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空間づくりと照明

空間の大きさから考えても設備から考えても、無謀としか考えられない上演を、熊倉一雄さんの演出(主演も)意図を基に、彼は2間半四方くらいの平面と開帳場(スロープ)を組合せた低い一杯飾り(転換をしない)の舞台を設計しました。


井上ひさしさんの初期の戯曲は場面の展開の早さが特徴であり、それが身上でした。


・・・このリズムを崩すと、井上ひさしさんの作品を上演する意味がなくなってしまいます。


この「日本人のへそ」以来、テアトル・エコーで上演された井上ひさしさんの全作品を、彼と仕事を共にしました。


仕事のお付き合いも4半世紀に及びます。


その間折りに触れて仕事の姿勢をうかがいました。


彼が最も大切にしていることは、「舞台転換は瞬時に行なうこと」。


そして、「照明はかくれん棒を使用すること」でした。


・・・これは常に彼の舞台装置設計の基本姿勢で、このためにあらゆる工夫を怠りません。

昔の住宅事情 2

土倉ないし塗壁屋がどのような構造形式であったか・・・


これ以上詳しい記録や遺構が残存しない今日、確かめる術もないのですが・・・


以下その性格等について若干の考察を進めたいと思います。


諸例において、まず土倉等の全倉数に占める割合がきわめて低いことに注目しなければなりません。


『資財帳』は類例が少ないのでしばらくおくとして・・・


『正税帳』のうち最も比率の高い豊後国においてさえ約六間に一間の割合で、最も比率の低い駿河国全体に至っては、一五間に一間の割にも満たないのです。


・・・このように土倉等の割合の低い理由を、特殊な稀少物品を収納するためとすることは、この恨合妥当でないでしょう。


なぜならば、現存する諸国『正税帳』に見る倉の構造種別では土倉等を含まないものの方がむしろ多く・・・


ことに畿内に近い諸国の正倉には全く現われてこないからです。


したがって、倉を用途上の目的から必須の構造であったとすることは困難です。


これはまだ外壁リフォーム技術などがなかった頃の話です。

昔の住宅事情

公共施設(この時代では寺院や宮殿)には時代の先端を走る外来文化が急速に採り入れられても、個人の日常生活に直結する住居のようなものは意外と保守的であるという・・・


いつの世にも変らない原則が働いているように思えて興味深いですね。


太政官奏言も、あるいはそのような布告を必要としたところに、新様式の住宅の普及し難かった事情を推測すべきでしょう。


このため、外壁リフォームなどの技術はまだなかったものと考えられます。


寺院・官衙・超高級邸宅と並んで、土壁の用いられたものに倉庫建築があります。


『駿河国正税帳』によれば・・・


同国志太郡の正倉ニ四間のうち一間が、安部郡ではニ三間のうち一間が、そして同国全体の正倉ニ八間のうちでは七間が、それぞれ土倉となっています。


また天平9年『豊後国正税帳』に見る同国球珠郡では、正倉一七間のうち塗壁屋が三間あったそうです。


一方、天平19年付『法隆寺伽藍縁起井流記資財帳』(以下単に『資財帳』)によれば、同寺の倉七間のうち一間が土倉でした。


写真について 3

どうやって生活をしているのかを知りたい方々には不親切な報道、不忠実な記録ではないでしょうか。


どう住んでいるかは読者が判断すればよい、というのでしょうか。


私の独断ではとても人間が住んでいるようには思えない、あるいは、人が住めそうもないような住宅の写真です。


ふだん着の姿をうつすか、お化粧姿のハレの状態にするか、全部すっぱり脱がせて裸にするか、人によって意見はちがうでしょう。


私は、住宅雑誌であれば、ふだんの状態にちかい姿を伝えるほうがよいと思います。


片づけるのはほどほどにして、少なくとも撮影するときだけ。


ソファー 通販で購入した別の家具を運びこんだり、いわゆるスタイリストたちの手を煩わすようなことは行き過ぎ、とする立場をとります。


裸にするならするで、かえってすがすがしいのですが、読者対象次第では不親切になるときもあるでしょう。


逆に、親切すぎるのもときには迷惑をうけることもあるのではないでしょうか。


マンションや分譲住宅のパンフレットなどで見受けるパースペクティブ、略してパース、見取り図のことです。

写真について 2

最近は、私自身そういったことに疑問をもっているうえ、体力、腕力がないといういいわけをしてお手伝いを免除させてもらっています。


ふだんの生活ぶりが消え、別の姿が撮影され、それがさらに印刷されるのですが・・・


その間編集者たちの手によってレイアウト、トレーミングと呼ばれる作業で現実にある姿の部分がゆがめられていきます。


数十日を経て掲載された雑誌が届けられたのを見て、"これがわが家かしら…?"と嘆息された方があります。


誇張ではないのです。


実際あったことです。


それでいいのでしょうか、どうでしょうか。


それでもいっこうにかまわない、生活を伝えるのが目的ではないから、という説もあるでしょう。


また、建築の姿を伝達するには裸のほうがいいのだ、とうかがえそうなのを見ることがあります。


家具をはじめ生活の一切が画面から取り除かれています。


まるでテレビやソファーなどの一切を家電 買取に出してしまったかのようです。


入居以前に写したのか、入っているのを例の調子で出してしまったものなのか・・・。

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